新潟県のほぼ中心部に位置している“燕三条”といえば、昔から鍛冶などの伝統文化が残り、金属加工・ステンレスの町として知られています。刃物や板金の加工技術、溶接、研磨などものづくりのまち燕三条としてのイメージが浸透し伝えられています。
スノーピーク、キャプテンスタッグ、山﨑金属など、世界でも有名なメーカーが存在するものづくりの集積地をご紹介します。
燕市と三条市はものづくりの町
そもそも燕三条という地名はなく、燕市と三条市を合わせた呼称のようなものです。燕市で生産された金物や洋食器が商人によって広がっていき、地域全体がものづくりの集積地と呼ばれるようになりました。なかでも燕市は日本最大の洋食器の集積地としても知られており、国内生産シェアが90%を超えています。他にも機械や自動車関連の板金など部品の製造・加工も盛んにおこなわれています。溶接や加工の技術に優れた職人がたくさんおり、板金などの品質が求められる食品メーカーの機械設備部品が製造できることが強みではないでしょうか。
金属加工の条件に恵まれている燕三条
燕と三条で金属加工の始まりについて具体的な資料は残っていません。古くから伝統として伝えられているように室町時代には鋳物師集団が存在していました。交通にも優れた立地にあり、周辺の地域から技術や材料などが流入するなど、金属を加工するための条件に恵まれていたこともあります。そのため、江戸時代になると、燕三条周辺では和釘作りが積極的に行われるようになりました。
海外に金属加工を広げる取組み
燕三条周辺では、旧石器時代の遺跡も発掘されています。こうした燕三条ならではの特色を生かして、地域の企業が積極的に海外ビジネスに参入してきました。機能性の高さはもちろんのこと、品質にも定評があり世界的な注目を集めています。例えば爪切りとして有名な「SUWADA」や、包丁の「藤次郎」なども燕三条で製造されたものです。
燕三条周辺は多様な加工・製造技術による産業が大きな力となっています。純粋に技術力の高さに定評があるため、どんなに不況になったとしても、すべての産業が落ち込むことはありません。すでに海外に訴求できるような強いブランドイメージもありますが、それがものづくりの集積地としての燕三条のイメージと一致できていない問題も考えられます。
まとめ
燕三条がものづくりの集積地といわれているのは、長年の歴史によって守られてきた伝統が今に息づいているためです。職人さんはもちろん地域の人が大切に伝承し、世界にもその名を広げている魅力あふれる場所です。